1: しじみ ★ 2017/11/14(火) 18:12:47.38 ID:CAP_USER

〈映画「シン・ゴジラ」と血液凝固剤〉

映画「シン・ゴジラ」は傑作でした。現実に寄り添いすぎた映画なので、冷静な論評は待たねばならないかもしれません。
ただ多くの人々が、この映画に魅せられ、多くを語っています。

ところで、私はサプライチェーン・調達・購買といった領域に従業しています。この映画「シン・ゴジラ」では、血液凝固剤が重要な役割を果たします。
ご覧になっていない方もこの文章を読んでいるでしょうから、曖昧になっているのはご容赦ください。

ゴジラが上陸、そして、再上陸するのですが、この血液凝固剤をきわめて短い期間で増産せねばなりません。その量は672キロ。
官僚、ならびに政治家が全力を尽くし、この血液凝固剤確保に奔走します。数週間しか猶予がありません。

映画がどうなるかは見てください。ここで、製薬会社のサプライチェーン、調達関係者にヒアリングを行い、
新薬をたった数週間で生産・納品できるかを訊いてみました。

(以下、私は真面目に訊いていますが、みなさんはさほど真面目ではなく、気楽にお読みください)

〈大手製薬メーカー調達部門Aさん〉

「まずありえないと思います。医薬品製造業は、厚生労働省の承認がなければ、量産設備をそもそも稼働させません。
特別チームの指示だからといって……。難しいのではないでしょうか」とAさんは語ります。
しかし、映画で書かれていないだけで、たとえば大臣からの特別命令があった場合などはどうでしょうか。

「医薬品医療機器等法、というのがあります。それを逸脱して、緊急で作ってくれ、というケースでしょうか。
その場合、トップの判断になるでしょうが、口頭で依頼されただけでは困るかもしれません。
また、たとえば、新薬といっても、現物だけ渡されて、これをコピーしろ、といわれても難しいので不可能ではないでしょうか」。
しかし、もう時間がないなかでの案件です。この成分と、この成分を混ぜろ、という指示が出ている場合はどうでしょうか。
つまり、もう指示されたまま作れ、という場合です。

「その成分、というのは、たとえば原料のことですよね。その場合も、けっきょくのところ、工場や設備によって完成品質が違うんです。
そうなると、量産前に、テストサンプルを作って、それがゴジラに効果があるかどうか、
つまり量産指示書どおりの効用があるかを調べないと量産に移れないと思います」。
しかし、実際、ゴジラに効くか検証する時間は残されていない状況です。それでも、もう時間がないから、とにかく作れといわれたらどうでしょうか。

「たしかに、そうなると、もう製薬というよりも、工場外注に近いかもしれません。
ただ、微細な配合差異で結果が変わりますから、やはりトップしだいということかもしれません」
「また、原料について、海外輸入物の場合があります。そのときは、輸出許可を取らねばなりませんが……」とAさんは語る。
どうも生産実態、というよりも、心理的、さらに慣習的な壁のほうが高そうだ。

続く)

Y!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/sakaguchitakanori/20160824-00061470/



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